2011年(平成23年)5月31日に、東日本大震災チャリティ公演として当財団が主催した「古典芸能の夕べ」は、歴代の日本伝統文化振興財団賞受賞者が全員出演し、邦楽の各種目の当代一流の芸を展開し、ご来場の方々から大きな反響を頂戴いたしました。
このたび出演者の皆様のご理解・ご協力を得て、当日のハイライトの模様をYouTubeでご覧いただけるようにしました。動画は以下の2本です。
「古典芸能の夕べ」Pray For Japan / Japanese Traditional Music 1(9:21)
《第一部》
一、「三番三」
1. Sambaso
三番三:山本泰太郎【本年度 第15回財団賞受賞】 面箱:山本凛太郎 後見:山本東次郎、山本則俊 笛:松田弘之 小鼓:鵜澤洋太郎、田邊恭資、飯冨孔明 大鼓:亀井広忠【第8回受賞】
二、大和楽「お祭り」
2. Yamatogaku: Omatsuri
唄:大和左京、大和礼子、大和久路、大和久悠、大和久萌 三味線:大和櫻笙【第14回受賞】、大和久織、大和久涛、大和久翔、(低音)大和久喜子 笛:福原寛 鳴物:藤舎呂英【第10回受賞】、藤舎千穂、堅田喜三郎
三、三弦・箏・尺八三重奏「さらし幻想曲」
3. Sarashi gensokyoku
三弦:山登松和【第5回受賞】 箏:遠藤千晶【第13回受賞】 尺八:善養寺惠介【第6回受賞】
四、一調「百萬」
4. Noh: Itcho[Hyakuman]
謡:片山九郎右衛門【第11回受賞】 大鼓:亀井広忠(第8回受賞)
「古典芸能の夕べ」Pray For Japan / Japanese Traditional Music 2(11:55)
《第二部》
五、義太夫「菅原伝授手習鑑」寺子屋の段から「いろは送り」
5. Gidayu: Irohaokuri
浄瑠璃:竹本駒之助(人間国宝) 三味線:鶴澤津賀寿【第4回受賞】
六、清元「お祭り」
6. Kiyomoto: Omatsuri
浄瑠璃:清元美寿太夫、清元清美太夫 三味線:清元美治郎【第3回受賞】 上調子:清元栄吉
七、地歌「残月」
7. Jiuta: Zangetu
歌・箏:米川敏子【第2回受賞】 歌・三弦:藤井昭子【第7回受賞】
八、長唄「其面影二人椀久」
8. Nagauta: Sono omokage ninin wankyu
唄:杵屋直吉【第1回受賞】、松永忠次郎【第12回受賞】、杵屋巳之助、杵屋喜太郎 三味線:今藤長龍郎【第9回受賞】、松永忠一郎、今藤政十郎、今藤龍市郎 小鼓:藤舎呂英【第10回受賞】、梅屋右近、堅田喜三郎 太鼓:福原百之助 笛:福原寛
以上のハイライト動画は「じゃぽ音っとチャンネル」からご覧になることができます。
以下は、音楽評論家の悠雅彦氏が本公演について執筆された記事「ライヴ音楽食べある記V」(JazzTokyo)からご紹介させていただきます。
日本の伝統文化の奥の深さと豊かさを味わえる例外的な一夜
悠雅彦
東日本大震災の復興支援を側面からバックアップし、エールを送る音楽家たちの被災者と心で結び合いたいという強い気持が、震災後のほとんどのコンサートから伝わってきた。邦楽のコンサートも例外ではなかったが、日本伝統文化振興財団が主催した「古典芸能の夕べ」はその最も感銘深い例だった。チャリティを謳ったからではない。「三番三」に始まって赤坂日枝神社の山王祭を大和楽で描写する「お祭り」、邦楽界の先駆的作曲家・中能島欣一の名品「さらし幻想曲」、謡と大鼓で綴る能の「百萬」、後半は義太夫「菅原伝授手習鑑」からの「いろは送り」から、清元「お祭り」や地歌「残月」を経て、長唄舞踊曲「其面影二人椀久」で締めくくられた夕べは、当財団賞の歴代受賞者が舞台を務めるという贅沢この上ないもの。間口の広い、かつ変化に富んだプログラムは日本の伝統文化の奥の深さと豊かさを味わえる例外的な一夜で、これこそ邦楽に親しみはじめた若い人々にぜひ鑑賞して欲しいもの。少なくともたった一夜で終わるとは余りにももったいない。たとえば、日枝神社の山王祭を題材にした清元に触発されて常磐津や端唄、三河節と聴いていけば日本の〈ウタ〉の豊かさにたどりつける。清元美寿太夫らが演じた浄瑠璃(三味線は清元美治郎)は語る浄瑠璃。俗に情を語る音楽ともいわれるが、清元の歌はウタだ。清元の艶やかな語りうたいが後半の義太夫の語りを経て、米川敏子と藤井昭子による「残月」が浮き彫りする情感豊かな地歌へ、さらに杵屋直吉や松永忠治郎(三味線は今藤長龍郎、小鼓は藤舎呂英)らによる伸びやかな色気をたたえたヴォイスのクライマックスを最高の芸で堪能できたとは、何という至福の一夜!だったろう。
(JazzTokyoより転載)
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